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zoom RSS オトシブミの作った 「ゆりかご」

<<   作成日時 : 2015/05/15 13:52   >>

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 若葉が茂るこの時期、林の中を歩いていると地面に下の写真のような葉の筒が落ちているのを目にしたことがある人は多いと思う。 これは、オトシブミという甲虫が作った 「揺りカゴ」 なのだ。


 毎朝歩いている散歩道のコナラやクヌギなどの木の下には、写真のようなたくさんの葉の筒が落ちている。 ちょっと立ち止まって周囲の葉の筒を拾いポケットに入れて持ち帰ると、こんなにたくさんになってしまった。
 オトシブミとは、木の葉を巻いてゆりかごをつくる性質をもったゾウムシの総称だが、こんな複雑な作業が脳も未発達で力も弱々しい小さな甲虫によくできるものだと驚かされる。 実に器用な昆虫だと思うが、これほどきれいに巻き上げるのはさぞ難しいことだと思うのだが…。
 それでもたくさんある揺りカゴをよく見ると、オトシブミにも器用なオトシブミと、余り器用でないオトシブミがいるとみえる。 下の写真の右側はきっちりと丁寧に巻かれているが、左側はそれに比べると粗雑さが見られる。 ことによったら不器用なオトシブミが葉を巻いた揺りカゴなのかも知れない。
 

 このゆりかごは、どのように巻かれてあるのか開きながら調べてみることにしよう。 
 まず、巻いた筒が開かないようにする上で大切なのは、巻き終わりの処置だが、巻いたときに内側になっている緑色の濃い葉の表側を反転させることによってしっかりと留めている。 これで、筒が自然に開いてしまうのを防いでいるのだ。(ちょっと写真では確認しにくいかも知れない。)
 その留められた反転をほどいて少し開いたところが下の写真だ。 葉の主脈と反対の側(葉のふち側)も一緒に、葉1枚全体がきれいに折り込まれて巻かれていることがわかる。
 

 完全に開いてみると、葉がきれいに真ん中で二つに折られているのではなく、折り目は中心から少しずれている。 反対側を見てみると、葉の主脈に一定の間隔をとりながら傷が付けられているのが観察できる。 これは、オトシブミがつけた噛み傷なのだ。 こうすることで、葉にしなやかさが出て、折れぐせが付き巻きやすくなるのだろう。 葉の先端近くのふちの側にも噛んだような跡がある。 こうしておくことにより、巻き始めが楽になるのだろう。 巻く作業に入る前に周到な準備がされているのがうかがえる。


  二つ折りになった葉身を丁寧に開いてみると、巻き始めの部分に1mmほどの黄色い卵が1個産み付けられているのが見つかった。 ツヤツヤとしており、実に美しい卵だ。 オトシブミの雌は、卵を産み付け、こうして葉っぱを噛み切って丸めて揺りカゴを作っているというわけだ。


 やがて卵から孵った幼虫は、この揺りカゴを食べ、外敵や乾燥から守られながら成虫になるまでこの中で暮らしていく。
 たった一つの卵のためにこれほど緻密で大変な作業をしていることに感動を覚える。 こうして卵一つ一つにそれぞれ丁寧に揺りカゴを作ることにより、途中で命を落とすことなく成虫になれる確率を高めていることにつながっているのだろう。
 小さな虫たちの営みから、思いも寄らないすばらしい知恵に感動させられることがしばしばあるものだ。



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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
珍しい筒形の葉を初めて見ました。
小さな甲虫がこんなにも綺麗に
卵を産み付けて葉を巻き上げるなんて、
本当に驚かされます。
このようなブログを見せていただいて、
虫の世界も楽しいと、とてもワクワクしました。

雅♪
2015/05/15 21:19
おはようございます
もう、そんな季節なんですね
宝物の包みを開くような眼差しのwagtailさんが想像できそうです。
オトシブミにとっては、まさに宝物の包みなんでしょうね
たっきー
URL
2015/05/16 06:35
今晩は。
オトシブミ--きれいな卵です。
生きていくための知恵でしょうが---不思議ですねぇ。
素晴らしい観察ですね。
見習います
行き当たりばったり
2015/05/17 18:02
 雅♪さんへ
小さな甲虫のどこにこんな力と
すばらしい知恵が備わっているのでしょうか。
野生動植物の世界には、驚くようなことがたくさんあるものですね。
散策中にこうしたことに遭遇すると、本当にワクワクします。
wagtail
URL
2015/05/17 18:45
たっきーさんへ
初めてオトシブミの揺りカゴを開いたのは、もう何年も前のことです。
分かってはいても、こうしてきれいな卵や、
葉の巻いていく過程が見られると感動するものです。
wagtail
URL
2015/05/17 18:48
 行き当たりばったりさんへ
こんな発見ができると、益々散策が楽しくなってきます。
今回の揺りカゴは、すでに数年前に調べてあったので、
新鮮さという点では今ひとつではありますが、
オトシブミの揺りカゴを作るメカニズムが確認できると、
「やったね」といった気分に浸れるものです。
wagtail
URL
2015/05/17 18:52

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